春耕俳句会は、有季定型の俳句と和楽の心で自然と人間の中に新しい美を探求します。第五感・第六感を働かせた俳句作りを心がけます。
連載記事 - 月刊俳句雑誌「春耕」掲載

古典に学ぶ

古典に学ぶ (88)源氏物語2020年11月号

『源氏物語』という物語名の意味するもの② 『源氏物語』とは、彼から奪われた天皇の座に就く可能性を、藤壺との密通で、そこに生まれた皇子の存在によって取り戻し、回復しようとする恐ろしい〈罪〉の物語なのである。『源氏物語』の名称は、単に光源氏が主人公だからではなく、物語の本質である王権とそれを取り巻く社会を描き出した物語なのである。

古典に学ぶ (87)源氏物語2020年10月号

『源氏物語』という物語名の意味するもの① 「源氏」とは、天皇家と「源」(みなもと)を同じくする一族の意である。また、天皇の子で元服の際、他の誰よりも恵まれたスタートラインに立てる存在であり、源氏であることは、皇子に自己の持つ能力を発揮する機会を与えることでもあるのだ。 しかし、「源氏」になるということは、同時に皇位継承の権利を放棄することを意味するのである。

古典に学ぶ (86)源氏物語2020年9月号

桐壺更衣の最後の和歌 輦車(てぐるま)の宣旨を出した後も、なお引き止めようする帝に対し、更衣は突然「女」と呼称される。身分や地位を捨て、一個の女性という立場で、最後の力を振り絞り、日常的な言語ではなく和歌によって自身の生への執着を語る。

古典に学ぶ (85)源氏物語2020年8月号

帝と桐壺更衣の今生の別れの場面のまなざし②  世間の非難に逆らい、世評に抗って二人だけの純愛を貫いてきた帝と更衣であったが、その二人の別れの場面は、最後の最後で、「言えない」思いと「理解できない」思いとにあえなく引き裂かれてしまうのである。

古典に学ぶ (84)源氏物語2020年7月号

帝と桐壺更衣の今生の別れの場面のまなざし① 愛の証である源氏誕生から3歳の春、その袴着が終わった途端、『源氏物語』は早急に桐壺更衣の死を描き出す。その場面は、何度読んでも緊迫した状況と二人の愛情の吐露が見事に融和し、紫式部の稀有な才能を思い知らされる。

古典に学ぶ (83)源氏物語2020年6月号

日本最高峰の物語文学『源氏物語』世界を繙く ─ センセーショナルな物語のはじまり④ ─ 画期的な冒頭文に続き、「はじめより我はと思ひあがりたまへる御方々(かたがた)、めざましきものにおとしめそねみたまふ。」(宮仕えの初めから、我こそはと自負しておられた女御がたは、このお方を、目に余る者とさげすんだり憎んだりなさる)とある。

古典に学ぶ (82)源氏物語2020年5月号

日本最高峰の物語文学『源氏物語』世界を紐解く ─ センセーショナルな物語のはじまり③ ─     天皇の后妃たちにはなぜ身分があるのか。                   

古典に学ぶ (81)源氏物語2020年4月号

日本最高峰の物語文学『源氏物語』世界を紐解く 『源氏物語』の冒頭は、「桐壺」という巻である。その物語のはじまりを告げることばに、微細 にこだわって読むことが大切なことだと思われる。

古典に学ぶ (80)源氏物語2020年3月号

日本最高峰の物語文学『源氏物語』世界を紐解く 日本の最高峰の「古典」といわれ、世界の中でも高い評価を占めてきたのが紫式部という一女性の手による『源氏物語』である。

古典に学ぶ (79)万葉集の魅力 (7)2020年2月号

「梅花の宴」の最後に位置するのは、小野氏淡理(おのうぢのたもり)の、「霞たつ長き春日をかざせれどいやなつかしき梅の花かも」という締めくくりの意味を持つ歌である。

古典に学ぶ (78)万葉集の魅力 (6)2020年1月号

「梅花の宴」の意味するもの⑥ 「梅花の宴」もいよいよ終盤にさしかかった。残すところ七首である。前号の田氏真上(でんじのまかみ)(839)に続き、村氏彼方(そんじのをちかた)の次の歌(840)が並ぶ。

古典に学ぶ (77)万葉集の魅力 (5)2019年12月号

古典に学ぶ (77)令和を迎えて読み直す『万葉集』の魅力 ─  「梅花の宴」の意味するもの⑤   上席の歌詠が終わり、下席へと盃が回り、歌が続いて詠み継がれていく。下席の座の順序は、上席ほど明確な秩序はない。到着順や年長を先に立てるというようなことがあったのであろう。だが、その歌々の反応や照応の関係は、上席にまさるとも劣らないようである。   

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